待ち遠しかった初回のレッスン。
昭子の両親が勤め人であり、遠方からの通いであることを考慮され、
土曜日午後3時半からのレッスン時間をやりくりされたせい先生。
我流であったとはいえ、先週昭子の弾くピアノを聞き、密かな期待をこめられてのことであった。
せい先生の母、あの先週の老婦人に案内され、入室した静子に昭子。
「お世話になります。よろしくお願いいたします」静子は言い昭子もならって礼をした。
内心、心待ちにされていたせい先生。
「いらっしゃいませ、お待ちしていました。すぐにレッスン始めて大丈夫なん? 昭子ちゃん」
もともとレッスンに前向きな昭子である。「はい」と素直にこたえ母静子から受け渡された教材、
バイエルにメトードローズ2冊をピアノ譜面台に重ね置く。
準備が整ったことを確認したせい先生は「バイエルから始めます」と
これからレッスンを始めるにあたって区切りを付けるかのように言う。
昭子は何ページからなのか、前書き、目次、はじめに、の部分を飛ばし
実際の引き始めになるページを広げた。
「そうね、先週昭子ちゃんが弾くのを聞かせてもらって、
きょう昭子ちゃんのレッスン楽しみにしてたん。どれくらい弾いてきたんかな?」
緊張をほぐすかのようなせい先生の言葉。
昭子は横目に先生を見、小声に「26番」と言う。思いがけない番数、
その進み具合に、(そんなにも……)とせい先生は予想外な表情。
彼女の好きと能力を推し測り、さらに期待に胸膨らませる。
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