「表現芸術家ピアニストの生き様」掲載中

曲目は当然、行事の内容に華を添えるものが望まれたが、何よりも昭子の力量を最優先したうえでの選曲ということであった。

これまで、ピアニストになりたい。好きなだけにおぼろげではあったが、はっきりとした意識を持つにはいたっていなかった。が、こうして自分が人前で弾くチャンスを得られることによって、意識は自然に高まっていくのだった。

このイベントに参加するしないではなく、すでに昭子にはこのとき弾きたい曲があって父におねだりし、楽譜を手にしている曲、ベートーベン作曲、「テンペスト」があった。

兄弟がなく、家で一人過ごすことの多かった彼女は、ラジオ番組の音楽を聴くことも好きで、特に自分がオルガンを弾いていただけに、パイプオルガンやピアノ演奏に関心を抱いていた。そんななか、昭子が強いインパクトをうけながら、聞き終えたのがこの曲で(自分も弾いてみたい)心に焼き付いた曲であった。

ゆったりとでありながら衝撃的な回想を思わせるアルペジョ。から、ひとつひとつの事象を顧みる一音の長い単旋律。に続き意を決し、たたみかけるような行動が始まることをにおわせる音楽。その繰り返しと変遷しゆく自称を見定めながらも、すべてを需要する音楽造りによるその流れ。

昭子は通常にない異様さを抱く。だが、同時に弾いてみたい、強い欲求も抱くのだった。ピアノ奏法的には昭子にとってまったく弾けないという曲ではないのだが音楽的には困難がある。

 

小学校高学年では通常弾きこなすには困難な曲。それでも楽譜を手にした当初、彼女は読譜については楽しみながら行い、弾ける部分についてはしっかりこなしていた。

 

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