「表現芸術家ピアニストの生き様」掲載中

2人が学校の校門をまたぐと運動場の校舎側にテントがはられ、出店のもうけられているのが見えた。
何をされているのかは分からないが、それなりの人だかりである。荷物を運ぶのに使われたのか、そばに一台のリアカー。
講堂はそれらの向こう側にあって、2人は近づいていく。
後ろから来る人。進むにつれ、顔見知りの人もあって会釈を交わす。
難曲、内心気が気でない昭子。そんな昭子の胸の内、察しないではない母静子であったが、それよりもこれから舞台に立つ娘に、内心誇らしささえ抱いていた。
「静ちゃん」声にふりむけば合唱仲間のE。
「あら~おはよう。あんたんち遠かったんとちがうん、どうしたん」
意外さを交えた静子の対応に
「だってあんたんちの昭子ちゃん、今日ピアノソロを弾くっていうことじゃない。私興味あるの、いったいどんなピアノを弾くんかって。聞くところによると、この前あった学習発表会でクラスの合唱伴奏者を誰にするかって、あったんでしょ。その時ピアノの弾ける人、あんたんちの昭子ちゃんと学級委員長のふたりの名前があがって、みんなの前で弾き比べがあって、結局昭子ちゃんが選ばれたっていうんじゃない?どんなピアノを弾くのか興味あるし、それにいろんな催し物もあるんだから・・・」
 納得顔で行こうとする静子に「ところでしずちゃん、チラシに詳しいことはというより、何の曲を弾くかも出てなかったんだけど、昭子ちゃんいったい何の曲を弾くん?」
 聞かれて悪い気のしない静子。「そう、今の昭子にはちょっと無理だって私心配で昭子に言ったんだけど、今一番弾きたい曲で、なんとしてでも頑張るって言うんだもん。」
 一抹の不安からかもったいをつけてなのか、最後に「あんたもよく知ってるはずのテンペストなの」Eの顔に(えっ)と驚きが現れたのを静子は見逃さなかった。

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